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牛歩庵―鍼灸師・中国語医療通訳/翻訳者のblog

「鍼灸はなんで効くの!?」「ツボって何?」

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東北での治療ボランティア活動

このゴールデンウィークに「はり灸レンジャー・鍼灸震災ボランティア」という活動に参加してきました。

IMG_1842.JPG

東日本大震災で大きな被害を受けた南三陸町を中心に、仮設住宅での治療を行うというものです。
 
すでに他の先生方は複数回東北を訪れており、今回はもう第8回目となります。

「レンジャー」を名乗る以上、それぞれのメンバーには色が割り当てられており、私は「はり灸ブラック」を襲名いたしました。

 
 
5/2(木)大阪 仙台へ
 
4月12日に就航したばかりのLCC(格安航空会社)、ピーチ・アビエーションで関空から仙台へ飛びました。
 
東北へ行くのは初めてだったので、初日は東北大学に留学している中国人の友人に連れられて、市内を散策しました。
 
この友人とはもう8年近い付き合いになります。
私が中国の広州に留学していたとき、彼はその留学先の大学で日本語を専攻していました。
大学の先生の紹介で知り合い、日本語と中国語の交換学習をしていました。それ以降も日中を行き来しつつ、ずっと交流が続いています。 
 
2011年、彼が仙台に行く直前に東日本大震災が起こりました。
 
周囲の反対もあったようですが、1カ月遅れで来日し、研究生を経て現在は大学院で学んでいます。友人から、当時の市内の様子などを聞かされながら、自転車で市内各所を巡りました。
 
 
5/3(金)南三陸町
 
ボランティア初日。
 
仙台駅で他のメンバーと合流し、初日の目的地である南三陸町へ向かいました。
 
「このあたりから津波の被害があった地域ですよ」と言われて初めてハッとしました。
がれきはあらかた撤去され、平らな地面が広がっていました。
ここが以前どんな街だったのか、わずかに残っている建物や、家屋の基礎部分などを見て、想像をふくらませるしかありません。
「ここであの大津波が起こったんだ」と、半ば自分に言い聞かせなければ想像できない、実感としてとらえきれないもどかしさがありました。
 
 
震災のむごさを思い知らせるのは、更地の真ん中にポツンと佇む防災庁舎です。
赤い鉄骨だけになった3階建ての庁舎からはパイプが垂れ下がり、風に吹かれてきしんだ音を立てていました。ねじ曲がった非常階段の手すりが、水圧の激しさを物語っています。
 
玄関だったところには祭壇が設けられ、献花、黙祷をする人たちが次々と訪れていました。
 
南三陸では、現地の職員さんのご自宅で鍼灸治療を行いました。
 
他のメンバーはすでに何度か訪れているということで、親戚の家にやってきたような、なごやかな雰囲気の中で治療が行われていました。
 
治療後はお茶とお菓子を頂き、こちらのお家が養殖しているワカメまで頂いてしまいました。
 
帰宅してからも味噌汁などに入れて、美味しく食べています(たくさん頂いたのでまだ残っています)。
 
 
5/4(土)登米市 南方仮設住宅
 
南三陸町の隣、登米市にある南方仮設住宅にて治療を行いました。350戸という、最大規模の仮設住宅です。
 
90歳を超えて仮設住宅で一人暮らしをされている方、ボランティア組織の職員の方など、10人近い方を治療しました。(グループでは30人を超える人数になりました)
 
限られた治療時間で、普段の治療とは異なる環境に慣れるのに少し時間を要しました。
もう少しお話ができたらと思ったのですが、とにかくここでは体のケアに集中することにしました。
 
 
5/5(日)南三陸町 入谷福祉型仮設
 
前日訪れた南方仮設は登米市の市街地近くにあります。周辺にはコンビニなどもあり、比較的便のいい場所です。
この日訪れたのは、前日とはうってかわって、山あいにある小さな仮説住宅です。風景の美しい場所でした。
 
舟橋先生の記事にもあるとおり、ここへの慰問やボランティア団体の訪問は皆無だということです。だからこそ、私たちのように、大がかりな設備や機器も要さない小回りの効くグループが役に立てます。
 
治療は午前中に10人ほど行い、本日程は終了となりました。
 
 
午後は気仙沼市へと向かいました。
5日と6日には現地に住む友人やご家族の治療を行い、地元の状況について事情をお聞かせ頂きました。
気仙沼市内にも90カ所以上の仮設住宅があり、鍼灸で役に立てることは数多くありそうです。
 
「大海の一滴」ではありますが、今後も息の長い活動として、参加していくつもりです。
 
市内で一泊して仙台に戻り、5/7(火)の夜の便で関西に戻りました。
 
 
今回の東北行き、私はゴールデンウィークの真ん中を外したので、航空券代は往復で1万2000円程度に抑えることができました。
 
時期によって変動しますが、片道12時間程度かかる高速バスと同程度の価格ですから、今後は関西から東北へ行くには、LCCが第一選択になるでしょう。
飛行時間も約1時間半と、ウトウトしているうちに到着してしまいました。
 
座席も往復ともに満席だったようで、関西にとって東北が少しでも身近になったことを嬉しく思っています。

他のメンバーの記事も読むことができます。詳しくは、以下のブログをご覧ください。

はり灸レンジャー・鍼灸震災ボランティア

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神戸で鍼灸のセミナー開催

3/2(土)、神戸市内で開催された鍼灸のセミナーで、親友の戴さんとともに講師を務めました。

鍼灸が体に作用する生理学的原理から、古代中国で医学が発生した文化的背景まで広くお話をさせて頂きました。

鍼灸はいまだにその原理のすべてが解明されているわけではなく、欧米では科学研究が盛んに行われています。
向こうでは「経絡」や「ツボ」といった予備知識がない分、先入観なく「具体的に何が起こっているのか」を見極めようという意識が強いのだと思います。

私も治療ではいわゆる「東洋医学理論」は使いません。しかし、奈良時代頃から流入し続け、明治維新直後まで日本の正統医学であり続けた「東洋医学」が日本人の文化、身体観に与えた影響はとうてい無視できるものではありません。

例えば、今でもよく使う「中風(脳卒中)」、「破傷風」、「痛風」などの「風」とは中国医学の「風(ふう)」の概念を由来とするものですが、はるか昔に受け入れた古代中国医学の概念は、ここ日本でどのように受け入れられ、変容し、現代に至っているのでしょうか。

近代以降、日本は漢語を利用して西洋医学(だけでありませんが)の概念を翻訳し(例えば現代中国語でも使われる「神経」という語は日本人の発明した漢語で、「神」「経」はともに東洋医学の概念です)、それが近代化を目指す中国に「輸出」されることになりました。

現代の日本と中国は、お互いの国で生まれた概念を相互に利用しあっているわけです。
最近私は日本と中国の医学交流史に関心があり、もう少し深く研究してみたいのですが、まずは上に挙げたような語彙論的アプローチがとっかかりになるのではないかと思っています。

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『はり灸師が教える ツボ刺激による自己ケア』ご紹介

タイトルをご覧になって、どんな本を想像しただろうか。
 
「○○の病気には、▲▲のツボを押すと良い」といったことが書かれていると思ったのではないだろうか。
 
そして、「ツボ押し健康法ならネットにいくらでも載ってるし、雑誌の記事でもよく見かけるから、いまさらね…」と、感じたかもしれない。
 
上のような印象を抱いた方にこそおすすめする本である。
 
本書は、そういった第一印象を、確実に裏切る。
 
「ツボ刺激による自己ケア」と銘打ちながら、よく知られる「百会」や「合谷」、「足三里」といったツボの名前も出てこない。そもそもツボとは押すものですらない。では、どうするか。
サブタイトルの「皮膚から検索」というのがその答えだ。
 
私たち鍼灸師が患者さんたちに提供しているのは、単に体をスッキリさせたり、一時的な苦痛を取り除くための治療ではない。
 
それは、鍼や灸、深い医学の知識がなくても、自分の身の回りの人たちを幸せにすることのできる「手当て」の知識なのである。少なくとも私はそう考えている。
 
これからは間違いなく税金だって保険料だって医療費の負担額だって、どんどん上がっていくのだ。
誰だって、できるだけ病院の世話にならず、いつか必ず訪れる最期の日まで笑って生きていたい。毎晩「今日も生きてて良かったな」と思いながら、目を閉じたい。
自分の口で好きなものを食べたいし、好きなところに自分で行きたいし、読みたい本、見たい映画、会いたい人だってたくさんいる。
 
だが、それはただ漫然と日々を過ごし、なんとなく体に良さそうなことをしてみたり、話題の健康食品を食べているだけでは、届かないものなのだ。
そのことに、もうみんな薄々感づいているはずだ。
 
でも、いくら普段からのケアが大事だからといって、鍼のことはよく知らない人が多いし、第一身の回りに鍼灸師という職業の人は極めて少ないのが現実だ。
治療院に行くのだってタダではない。だからこそ、自分自身で健康を手に入れる必要がある。
 
そもそも歯は毎日2度も3度も磨くのに、なぜ体はほとんどの人がほったらかしなのか。
自分の体から発せられているサインに応えれば、健康は自分の手でたぐり寄せることができる。
そして、その方法は、それほど難しくないことがわかる。
 
本書には、頭痛から心臓の病気、不妊に至るまで、およそ生きていれば誰もが経験したり、見聞きしたりする病気に立ち向かうための知識が、これでもかとばかりに盛り込まれている。
必要なのは、自分の手だけだ。
 
本書は、反応点治療研究会の鍼灸師たちが、神経生理学に基づく治療理論によって、膨大な数の患者さんたちを救ってきた実践から生まれた渾身の一冊である。
 
「どこか調子が悪い、何かヘンだ…」、はなぜ起こるのか。
「触れるだけでわかる」私たちが、体の中にある何を見ているのかがわかって頂けるはずだ。
 
自分の体でも、パートナーの体でも、そんなことができると想像すれば、ワクワクしてこないだろうか。
驚きながら、楽しみながら、自分でできて、一生使える手当ての技術がわかれば、「生きていて良かった」と思える日がきっと増えるだろう。
本書を片手に、もう片方の手で自分の肌に触れてみよう。
 
「健康で生きていることさえできれば、あとはどうにかなる」
 
少し乱暴かもしれないが、私が鍼灸師になった理由の一つだ。
自分の体はもちろん、その手の届く限り、周囲の大切な人たちを守ることができれば、どんなに厳しい時代になっても笑って暮らしていけると信じている。
もちろん、内容についての質問、相談も大歓迎である。


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河村廣定・著
 
(遠見書房 2012年 税込2,100円)

出版社のサイトでまえがきを読むことができます。

ネオンサイン通販店・格安

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母校の学園祭にて治療

昨日は神戸まつりに合わせ、母校の神戸東洋医療学院で「天馬祭」というイベントが開催されました。

治療ブースで、私も一日治療をさせて頂きました。
神戸まつりには毎年京都から治療にいらっしゃる方や、「今日初めて鍼を受けます」と、コワゴワやって来られた方、中学生など、夕方までたくさんの方々に出会うことができました。

中学生の男の子とはアニメや漫画、ゲームの話などをしつつ、「まだまだ話題についていけるな…」と確認した次第。治療の際にも余裕たっぷりで、貫禄があります。実は一年後輩の学生の息子さんで、普段から家で打たれまくっているそうな。

終わった後のアイスクリームが格別でした。

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研修初日

今日は母校の付属治療院での研修初日でした。

学生さんたちにとっても初日なので、少し動きが硬かったようですが、まずは順調な滑り出しだったと思います。

きっとみるみるうちに力をつけていくのでしょうね。

お互いに得られるものがあればと思います。

ずっと診させて頂いている患者さんにも再会。
臨床に立つのは1カ月ぶりでしたが、自転車と同じで、鍼の打ち方は体が覚えていました。

素晴らしい環境を下さった周りの方に感謝です。

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プロフィール

HN:
岡本悠馬
性別:
男性
職業:
鍼灸師・中国語翻訳者/医療通訳・講師
自己紹介:
神戸市須磨区妙法寺・南天はり灸治療院の院長・中国語翻訳者です。
2007年~2009年まで在外公館派遣員として中国上海に勤務。現在は翻訳者として活動しています。鍼灸では神経生理学に基づく治療を行います。反応点治療研究会所属。神戸市外国語大学非常勤講師。

手がけたもの:政治、軍事、経済、医薬、ソフトウェア取扱説明書、料理、紀行文、芸術展パンフレット、観光案内、中国語学習教材、古文(唐詩・宋詞など)、現代小説等。

メールアドレス:
okamotoyum★gmail.com(★を@に変えて送信)

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