忍者ブログ

牛歩庵―鍼灸師・中国語医療通訳/翻訳者のblog

「鍼灸はなんで効くの!?」「ツボって何?」

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

技術とは魔法ではなく

臨床実習に新しい患者さんが二人見えられました。

実際に鍼を打ちながら、触診でわかる体の状態をお伝えし、治療方法について説明していきます。

内臓の炎症が、脊髄反射を介して筋肉を緊張させ、痛みが生じる。

つまり、神経というケーブルによって各内臓と脊髄はつながっていて、さらに脊髄から筋肉や皮膚にまでつながっています。

つまり、内臓の不調は神経というケーブルを通して、表皮に現れます。治療のポイント、重症度はすべて皮膚に「書いて」あります。

私たちはそれを読み取って、適切な刺激を加えることで、体を治癒に向かわせます。

大まかにこのように説明すると、患者さんはびっくりして、

「すごいですねえ!そんなことができるんですねえ!」とおっしゃって頂きます。

実際に鍼を受けられた方は「楽になった」と言ってニコニコと帰っていかれます。
なんだか名人になったようで悪い気分ではありませんが、訓練すれば誰でも身につけられる「技術」に過ぎません。点字が読めるのと同じようなものでしょうか。

同じことがちょうど今読んでいる司馬遼太郎の小説『花神』に書いてあり、驚きました。シンクロニシティですね。
蘭学者として西洋の医学を学び、後に大量の兵書を訳して倒幕軍の総司令官となる大村益次郎の生涯を描いたものです。
「医」と「翻訳」という、私の人生における二大テーマが取り上げられた小説で、不思議なシンパシーを感じるのです。(人間としてのスケールはずいぶん違いますが…)

主人公の村田蔵六(のちの大村益次郎)が蒸気船の製造を命じられ、製造法の書かれた洋書と、地元の職人の腕だけを頼りにこのビッグプロジェクトに取り組みます。
晴れて船は完成しますが、実際に動く様に驚嘆し、誉めそやす殿様たちに向かって、蔵六は冷ややかに言い放ちます。

「あたり前のところまで持ってゆくのが技術というものです」

メカニズムのいまだ明らかでない鍼灸というものを扱うからこそ、「名人」「ゴッドハンド」のような言葉に逃げ込まず、誰にでもわかる言葉で患者さんに説明し、誰にでもできる方法を次代へ伝えていくことが私たちの役目ではないかと思います。

拍手[7回]

PR

Comment

無題

  • NONAME
  • 2011-10-21 07:34
  • edit
身近なものほど神秘性を感じる場合(たとえば生物)と、遠いものほど神秘性を感じるもの(たとえば宇宙)が共存する人間の脳内。どちらも実は繋がっている。従い、人間の生きざまにより宇宙が変わる。これもバタフライ効果か??!!(^^)

無題

  • Yuma
  • 2011-10-23 22:20
  • edit
宇宙はすべて入れ子のようになっているのでは、と思います。
この宇宙全体も一つの原子一粒の中にある存在に過ぎず、地球上の原子一粒の中にも一つずつ宇宙がある。
お名前
タイトル
E-MAIL
URL
コメント
パスワード

Trackback

この記事にトラックバックする

twitter

カレンダー

10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

プロフィール

HN:
岡本悠馬
性別:
男性
職業:
鍼灸師・中国語翻訳者/医療通訳・講師
自己紹介:
神戸市須磨区妙法寺・南天はり灸治療院の院長・中国語翻訳者です。
2007年~2009年まで在外公館派遣員として中国上海に勤務。現在は翻訳者として活動しています。鍼灸では神経生理学に基づく治療を行います。反応点治療研究会所属。神戸市外国語大学非常勤講師。

手がけたもの:政治、軍事、経済、医薬、ソフトウェア取扱説明書、料理、紀行文、芸術展パンフレット、観光案内、中国語学習教材、古文(唐詩・宋詞など)、現代小説等。

メールアドレス:
okamotoyum★gmail.com(★を@に変えて送信)

最新コメント

[02/26 Surveys]
[06/01 許]
[07/25 Masa@Shanghai]
[07/13 Masa@Shanghai]
[06/18 Masa@上海]

最新トラックバック

バーコード

ブログ内検索

P R

フリーエリア

アクセス解析

Copyright © 牛歩庵―鍼灸師・中国語医療通訳/翻訳者のblog : All rights reserved

TemplateDesign by KARMA7

忍者ブログ [PR]