『ヘルニアのはなし1』の続きです。
さっそくですが問題です。
下の画像をご覧下さい。(画質が良くないのでクリックしてご覧下さい)
声を出したとき、音を拾うのはどの部分でしょうか?
言うまでもなく、①の部分です。
どんなに声を張り上げたところで、②や③は音を拾ってはくれません。
それでは、次の画像をご覧下さい。腰の辺りの脊髄(背骨)を輪切りにした図です。
赤い斜線の入った部分が神経、背骨の中で丸く固まっているのが脊髄です。
(私の心のこもった手書きなので、絵がマズイのは多めに見て下さい)
椎間板というのは、背骨の間にあるクッションのことでした。
椎間板ヘルニアとはこのクッションの中にある「髄核」というものがはみ出し(これをヘルニアという)、神経を圧迫することで痛みが起こるといわれています。
しかし、神経とは上の画像のマイクと同じで、先端の部分からしか情報を拾うことができません。
先端にある、情報を拾う部分を「受容器」といいます。
その他の部分(「軸索」といいます)はマイクのコードのように絶縁されており、外から情報は入ってきません。
つまり、①の部分、すなわち神経の末端が伸びている皮膚や筋肉に痛みの原因があります。
②や③の部分で痛みなどの情報が入力されることはありません。
神経は、情報のやりとりをするために中枢(脳や脊髄)から伸びているので、
情報収集を担当する先端の受容器以外の場所から情報が流れ込んできては意味をなさなくなってしまいます。
マイクも監視カメラも電話の受話器も、情報をキャッチするのはすべて先端ですよね?
絶縁されているコードの部分は非常に強固に神経繊維をくるんでいますので、ちょっとやそっとのことで壊れることはありません。
そんなにもろい代物であれば、ちょっと走っただけでブチブチ切れてしまいます。現実にはそのようなことは起こっていません。
万一、神経がなんらかの障害を負った場合、起こるのは「麻痺」です。
「痛み」ではなく何も感じなくなります。
痛みを訴えている方は、少なくとも神経は正常に働いているというわけです。
それでは痛みを発している原因は何か?
神経の末端が伸びている筋や皮膚以外にありません。
本当にヘルニアが原因であれば鍼灸師の出る幕はないでしょう。
鍼でヘルニアが戻ることはなかなか考えられません。(私に神通力がないかもしれませんが…)
しかし、ヘルニアで腰が痛いという方にも鍼は効いてしまいます。
腰が痛くない人にも結構な割合でヘルニアがあります。
ヘルニアと腰痛は無関係。
「脊柱管狭窄症」、「坐骨神経痛」も同様に、神経の圧迫が原因ではありません。
神経は圧迫されても痛みません。
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