健康な状態というのは、体が体として認識されず、まるで自分の体が周りの空気と溶け合ったかのような解放感にあることではないでしょうか。
健康な人が歩くとき、足は足として認識されません。「歩きたい」という意志だけで体が前へ運ばれていきます。
何らかの問題をかかえると、途端に足は片側10kg、計20kgの長い棒に変わります。
体から問題が消えると、今まで自分に向けられていた意識が外へ向きます。他の人を思いやる余裕も生まれ、何かに打ち込むこともできる。
「健康づくり」とは、自分の体を見えなくして、世界に目を向けるための過程といえるのではないでしょうか。
しかし、ご存じの通り私たちの置かれた環境は、この体を自由なままで放っておいてはくれません。
細菌、ウイルス、ストレス、タバコや自動車で汚れた空気、などなど、いろいろな「病気の元」が侵入し、体は戦いを強いられています。病気との戦いそのものは私たちの知らないところで自動制御で行われていますが、当然その分体の注意はそちらに向かっています。
パソコンのウィルスソフトが起動してウィルスを駆逐している状態をイメージしていただけるとわかりやすいと思います。
バックグラウンドでなにやらカリカリと動いて、問題は解決されているらしい、でも、その分自分が意識を振り向けているワープロや表計算の作業は遅くなって、なにやらもたついている。
「体が重い」「なんだかしんどい」というのはまさに体がこのような状態に置かれているわけです。
反応点治療では、治療者が訓練を積んだ指先感覚で体表に触れ、問題の在りかをかなりの精度で突き止めることができます。体表に現れた「反応点」に鍼を打ち、お灸を置いて柔らかな刺激を加えてやることで、体が元の状態に戻ろうとする力を引き出しているのです。