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牛歩庵―鍼灸師・中国語医療通訳/翻訳者のblog

「鍼灸はなんで効くの!?」「ツボって何?」

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逆水行舟

中国語に、

「学如逆水行舟、不進則退」
(学問は水の流れに逆らって舟を進めるようなもの、進まなければ退歩する)

ということわざがあります。

普段臨床の現場で治療をしていると、同じことが健康管理についても言えるなあと感じます。

治療とは水の流れに逆らって舟を進めるようなもの、進まなければ…

というわけですが、勉強とは違って、人がこの世に生まれてから否応なく乗せられているこの流れの終着点は「死」です。

程度の差こそあれ、誰もこの流れには逆らうことができないし、皆に等しくやってきます。

しかも、難しい病気にかかってしまったら、流れに逆らうことは極めて困難になります。同じ所にとどまっておくのがやっと、という場合も珍しくありません。

それでも、鍼一本、灸一つまみを櫂(かい)にして、木の葉のように脆い舟で激流を漕いでいかなければならない。どんな優秀な漕ぎ手でも、いつかは激流の終着点に来てしまう。

学問とは、永遠に目的地に辿り着くことのできない船旅であり、
健康づくりとは、いつかは流れの終着点に辿り着いてしまう船旅なのでしょう。

終着点までの旅路の間、少しでも美しい風景に気づけるように、旅の道連れのいる喜びを感じることのできるよう、岩にぶつかってしまわないよう、上手く竿を差すのが私たちの仕事なのだと思います。


(遠見書房 2012年 税込2,100円)

反応点治療の考え方、治療法、自宅でのケアが学べる書籍です。

出版社のサイトでまえがきを読むことができます
 

ハイネケンのネオンサイン

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ブログタイトルを変更しました

ネットなどの発達によって、他人の人生を覗き見る機会が増えています。

隣の家の芝生をLANケーブルに接続した潜望鏡で覗きこみ、「おれは本当にこうしていていいのだろうか」と焦り、「おれの天職は実はひよこ鑑定士なのではないか」などと思い悩むことができるようになりました。

選択肢が増えて喜ばしいことかもしれませんが、あみだくじの線が増えただけで、それが「幸福」というゴールにつながっているのかどうかは、人生の最期の瞬間までわかりません。

私のあみだくじも随分とこんがらがってしまいましたが、牛のように、ただただ歩き続けようと思い、ブログのタイトルを改めました。草を食べるのに夢中になりすぎたり、ときには走ることもあるかもしれませんが。



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二度と会えなくても、そして一度も会えなくても

近頃、SNS経由ではなく、昔の友人からどんどん連絡が来ます。単純に、嬉しい。

いわゆる「確変」なのでしょうか?それとも何かに勧誘される予兆なのでしょうか。


Facebookなどのおかげで、「あの人今どうしているんだろうなー」という淡く切ない記憶が、生々しい姿で一年中更新されるようになりました。

それでも、あまりにも遠くに住んでいたり、生きる世界が変わってしまったりと、現実の世界で再び巡り会える人の数は、それほど増えないような気がします。

数十年後には、ネット上でその人がこの世を去ったことを知るのが普通になるのでしょう。
「結局一度も会えなかったな…」と、後悔することになるのでしょう。
でも、仕方のないことです。

あるいは、その頃にはあらゆる行政手続きもネットワーク化され、亡くなったその日に、本人のアカウントに事実が表示されるようになっているのかもしれない。
入力しておいた遺言メッセージが自動で表示されたりして、訪問者はそこに集い、故人を懐かしみ、思い出を語り合う…

これから数十年にわたって、SNSに参加し続けるということは、どうやって自分の終わりまでの姿を、もう会えない人たちに伝えていくかを考えることだと思います。Facebookのタイムラインとは、まさにそれを想定しているのでしょう。
そしてその人の足跡が、電子データとして永遠に残り続ける。

あらゆる人の人生の、誕生から死に至るあらゆる瞬間が、ネット上に保存される日が来る。
歴史を作り、人知れずその生涯を終えて、消えて行った「無名の」人たちが、これからは名を持つ一本の人生として、少なくともメモリーとしては永遠に生き続ける日が来る。

今は自分の曾祖父母の名前すら知らない人も多いでしょうが、未来では自分の10代前の先祖まで遡ることができるようになるはずです。

時々誰かが自分のことを思い出して、のぞきに来てくれる。
それが二度と会えない初恋の人だったら、嬉しい。そう考えると、少し話を盛りたくもなります。

もしかしたら、一度も会えない自分の孫の孫の孫の孫が、いつかどこかでアカウントを「発掘」してくれるかもしれません。

「ご先祖さんもアホだったんだな」

「ここでこの人と出会ってなかったら、おれは生まれなかったんだな」

どこか知らないところで、いつだか分からない未来で、そう感じてもらえれば、とても嬉しい。


ご先祖様は、今もこうしてアホな頭をぐるぐる回していますよ。

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さようなら、立っていなかった私

2月末の国家試験を控え、「勉強のための勉強」をしながら2011年最後の日を過ごしています。
 
十年前もちょうど大学受験で机にかじりついていたことを思い出します。
 
今年は通訳、翻訳、そして鍼灸と、いずれにおいても節目となる年でした。十年前の自分には、想像もできなかった道を歩いています。十年後も、同じ気持になるのでしょうか。
 
私は昭和58年生まれなので、数え年では論語・為政第二にあるとおり「三十而立」となります。
 
鍼灸学校もようやく卒業となり、まさに立つべき時が来ました。ここからの十年で、人生は折り返し地点を迎えることになります。
 
「生まれ変わったら何になりたい??」が空想でしかない以上、可能性は広げられるだけ広げていたい。
 
生き方をどうデザインするか、とても楽しみな年になりそうです。

これまで出会った方々と、いま生きている、これまで生きてきた人すべてに感謝して、一年を締めくくりたいと思います。

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花と素晴らしい私

花が咲いて、不覚にも美しいと思った。



美しいものには、わたし、がない。



うつくしいという言葉を知らない。



うつくしくなりたいと思わない。



チューリップもヒマワリも、その辺の小さな白い花も



自分がチューリップだということも、ヒマワリだということも、

その辺の小さな白い花だと思われていることを知らず、

じぶん、とは何か、ということも知らないアホである。



ただただただただダラダラタラタラと、在って、在って、在り続ける。



誰に望まれたわけでもなく、別にいいのにわざわざ芽を出し



何もせず、何も成し遂げず、ただ踏みつぶされて、散る。枯れる。ゴミになる。



何も知らず、何を知ろうともせずに



在る



巨大で賢く、物知りな高等生物の私、素晴らしい私が、堂々たる足取りでお通りになる。



白い花は、私の、土一粒の羨望も知らず、



今日も、踏み潰されている。

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プロフィール

HN:
岡本悠馬
性別:
男性
職業:
鍼灸師・中国語翻訳者/医療通訳・講師
自己紹介:
神戸市須磨区妙法寺・南天はり灸治療院の院長・中国語翻訳者です。
2007年~2009年まで在外公館派遣員として中国上海に勤務。現在は翻訳者として活動しています。鍼灸では神経生理学に基づく治療を行います。反応点治療研究会所属。神戸市外国語大学非常勤講師。

手がけたもの:政治、軍事、経済、医薬、ソフトウェア取扱説明書、料理、紀行文、芸術展パンフレット、観光案内、中国語学習教材、古文(唐詩・宋詞など)、現代小説等。

メールアドレス:
okamotoyum★gmail.com(★を@に変えて送信)

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