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牛歩庵―鍼灸師・中国語医療通訳/翻訳者のblog

「鍼灸はなんで効くの!?」「ツボって何?」

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出会い系地下鉄

出勤途中、地下鉄の座席で鍼灸の本を読んでいました。中国で買ってきた参考書を。

ページを眺める視界の片隅で……

一人分スペースの空いた隣に座るおじいさんが、何やらこちらを見ている。

なんだろな、

と思っていると、するするっと隣にやってきて、しきりに私の本をのぞき込んでいる。

「そんなに中国語が珍しいのかな?中国マニアかな?それともこの人鍼灸師なのかな?話しかけてみようかな?」

と思っていると、おじいさんがチョイチョイとつついてきて、中国語で。

「君は中国人なのか」

と尋ねてきました。

「いいえ、日本人ですよ」

と答えて、今は夜間の学校で鍼を勉強していること、大学で中国語をやっていたことなどを話すと、何だか随分と興味を持ってくれたようで、名刺を一枚もらいました。

すでに定年退職しているそうで、その名刺の会社にはもう勤めてはいないそうな。
外国人登録証まで見せてくれて、うちから割と近い所にお住まいのようでした。

しばらく話し、おじいさんは途中の駅で下りていきました。どこへ行くのだろう。

なんだかおもしろくて、私は一人、残された車内でにやにやしていました。


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帰り道

一緒に歩きながら話している時に、

「欲がないんですね」と言ってみた。

先生がいつも通りの微笑み顔で、

「そんなことないですよ。欲はありますよ。

でもねえ、

有名になんかなっても、いいことなんて一つもないですよ。ほんまに」

と言った。

いつも通りの、なんか、少しかなしそうな微笑み顔で。


最近は、今まで敬遠していた「オマエはどうやってのし上がるか」的な本をノシノシ読んでいたところだった。

やっぱりそうなんかな?と思った。

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23年ぶり

書店をぶらぶらしていると、中日大辞典の第三版を発見しました。

キヤノンの電子辞書wordtankを使っているので、電子版の「増訂第二版」にはこれ以上ないくらい世話になっています。

ただ、いかんせん発行が1987年と古く、新語に対応できないので、新しいのは出ないんかいな、と思っていました。

その前日に、ある翻訳家さんが書かれた本に「独立してからは資料の購入に月30万円使っていた」と書かれていたのを見て、もっと投資をしなければいけないな、と思っていた矢先の発見だったので、驚きです。コレを買えということだったのでしょう。
しかし、23年ぶりにしてはひっそりと発売しすぎです。

青い表紙の手触りが素敵ですが、増訂第二版にくらべ、80ページ近く薄くなっているのはなぜなのでしょうか。
これからゆっくりと眺めていこうと思っています。そのうち電子辞書にも搭載されるのでしょうね。

個人的には、白水社の中国語辞典を電子辞書に搭載してほしいと思います。

この辞書は、まえがきがアツイのです。辞典発行前に亡くなられた主編者の先生の思い、信念が、ひしひしと伝わってきます。

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読経ライフ

学校の期末試験が終わった。

2月の初めからずっと実技試験やらなんやらで、毎日電車乗りながら道歩きながら食事をしながらトイレで屈みながら
公園のジョギングコースをぐるぐると回りながら
「第1中手指節関節の近位陥凹部が云々、腓腹筋外側頭下縁とアキレス腱の間が云々、下腹部前正中線上臍中央の下方四寸が云々」
と、経穴(ツボのこと)の位置を唱えながら生活しておりました。

実技試験の口頭試問というものがあって、こういうのをきちんと唱えないといけなかったのです。
指で抑えて、「ここが何々のツボです!」と言って見せるだけではいかんのです。
母には「あんたお経読んでるんかいな」と言われましたが、その通りお経です。
面倒なことは面倒なのですが、ずっと唱えているうちに、何か脳内麻薬的なものが分泌されるのを感じるからです。

読みたい本が色々とたまっているので、非常にわくわくしております。

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感動を忘れかけたら

解剖学やら生理学やら勉強していて、

「うわあ、すごい!なんでこんな仕組みになってるんやろう!!」

と思うことが減って、いつの間にか

「はいはい、これとこれとこれ覚えたらええんやね。あ、これはテスト出ないんやね。ラッキー」

と思うようになっています。世間ではこれを「寂しい勉強」と呼びます。私が勝手にそう呼んでいます。

無理やりにでも、

「おわああ!何ちゅうことや!スゴイ、スゴイで~人体は!とてつもない仕組みで動いてまんがな~!」

と思ってやろう。心の中で、オーバーリアクションを取ってやろう。

「動いてまんがな~!!」は別にいらないけれど。

 

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プロフィール

HN:
岡本悠馬
性別:
男性
職業:
鍼灸師・中国語翻訳者/医療通訳・講師
自己紹介:
神戸市須磨区妙法寺・南天はり灸治療院の院長・中国語翻訳者です。
2007年~2009年まで在外公館派遣員として中国上海に勤務。現在は翻訳者として活動しています。鍼灸では神経生理学に基づく治療を行います。反応点治療研究会所属。神戸市外国語大学非常勤講師。

手がけたもの:政治、軍事、経済、医薬、ソフトウェア取扱説明書、料理、紀行文、芸術展パンフレット、観光案内、中国語学習教材、古文(唐詩・宋詞など)、現代小説等。

メールアドレス:
okamotoyum★gmail.com(★を@に変えて送信)

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