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牛歩庵―鍼灸師・中国語医療通訳/翻訳者のblog

「鍼灸はなんで効くの!?」「ツボって何?」

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ええ服着とる映画

元町映画館で『エンディング・ノート』を観てきました。

スクリーン一枚だけのこぢんまりとした映画館です。
私は普段この映画館で、観客もまばらな日曜の夜にわけのわからん映画を観ていることが多いのですが、話題作ということもあって立ち見が出るほどの盛況ぶりでした。

サラリーマンとして40年間勤め上げ、悠々自適の老後が始まろうとした矢先に末期の胃がんが見つかり、死を突きつけられた「主人公」の砂田氏。

段取り命でならした会社員時代そのままに、「死」という人生最後のイベントを迎えるべく準備を進める姿を、ただひたすら追っていきます。
プロの役者は誰一人出演していません。砂田氏とその家族が、来るべきその日を迎えるまでの姿を撮り続けるだけの映画。

病気がどんどん体をむしばんでいくという悲しい現実がありつつも、砂田氏のユーモア溢れる言動や、無邪気な孫たちとのやりとりに思わず笑ってしまう場面もあり、哀しさとユーモアの間を行ったり来たりしながら、観客は近親者の一人となって彼の送別に立ち会うことになります。

普段映画を観て泣くことは皆無の私ですが、この映画にはちょっとやられてしまいました。

監督・編集・撮影そしてナレーションはすべて砂田氏の次女がなさっています。


で、私の後ろには初老のご夫婦が座っていたのですが、旦那さんが映画を観ながら、

「ようこんな前からビデオ撮っとったなー」
とか、
「ええ服着とるなー、撮影やからやろか」
とか、いちいち突っ込みをいれていました。

日常を撮り続けたドキュメンタリーなので、感嘆するほど「ええ服」でもなかったと思いましたが…

とくに、「ええ服着とるなー」は、上映中何度も繰り返しつぶやかれたので、
私の中でついに本作は、

「出ている家族が『ええ服を着ている』映画」

として記憶されることとなりました。

劇場で映画を観る楽しみは、こんなところにもあります。

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プロフィール

HN:
岡本悠馬
性別:
男性
職業:
鍼灸師・中国語翻訳者/医療通訳・講師
自己紹介:
神戸市須磨区妙法寺・南天はり灸治療院の院長・中国語翻訳者です。
2007年~2009年まで在外公館派遣員として中国上海に勤務。現在は翻訳者として活動しています。鍼灸では神経生理学に基づく治療を行います。反応点治療研究会所属。神戸市外国語大学非常勤講師。

手がけたもの:政治、軍事、経済、医薬、ソフトウェア取扱説明書、料理、紀行文、芸術展パンフレット、観光案内、中国語学習教材、古文(唐詩・宋詞など)、現代小説等。

メールアドレス:
okamotoyum★gmail.com(★を@に変えて送信)

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