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牛歩庵―鍼灸師・中国語医療通訳/翻訳者のblog

「鍼灸はなんで効くの!?」「ツボって何?」

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道具のはなし・鍼(2) 鍼管(しんかん)

いくら鍼灸師がキレイなウェブサイトを作って「痛くないです!安全です!」「効きます!」と叫んでみたところで、あやふやな情報では実際に治療院でどのようなことが行われているかを判断する材料にはなりません。

正しい操作、道具を使う限り、安全であることは間違いないのですが、「安心」を連呼するだけで本当に安心することはできません。それで安心してしまう人はどこかで安心じゃないものを掴まされるのではないでしょうか。

「私たちはこういうことをしています。こんなものを使っています」、という情報を提供し、その上で安心かどうか、希望を感じるかどうかを判断してもらうべきだと思うからです。

ですから、私はできるだけ、結論ありきで「安全です」「痛くないです」「効果あります」とアピールするのではなく、これらの目的を達するためにこういう工夫をしています。
という実情をお伝えし、あとは患者さんに判断を委ねたいと思います。


そのような目的で、鍼灸の基礎の基礎から学ぶためのシリーズ記事を書くことにしました。縁あって当ブログに来て頂いた患者さん、あるいは鍼灸に興味のある方の参考になればと思います。


今回は、鍼の女房役、鍼管(しんかん)のご紹介です。

治療を受けたことがある方なら、何か管のようなものに鍼を入れて打っているのを見たことがあるかもしれません。実は日本独自の道具で、鍼灸の生まれ故郷中国では、使わない道具です。

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これが鍼管。ステンレス製です。先の方から少しだけ鍼の先端が覗いているのが見えるでしょうか?

鍼を打ちたい場所にこの鍼管を押し当てて、指を使ってリズミカルに叩きます。
そうすると、鍼の先端が一瞬で皮膚を通過し、痛みを感じにくくなるのです。
「叩き込むなんて、恐ろしい…」と思われるかもしれませんが、鍼をじわじわと皮膚にねじ込んでいくよりも、目にも留まらぬ速さで入れてしまう方が痛くならないのです。

なぜかというと、人間の皮膚で、痛みを感じる神経の先端(「受容器」といいます)が一番たくさん集まっているのは、最も外側だからです。なぜでしょうか。

皮膚は外傷を一番に察知しなければなりませんから、体外から来る危険はできるだけ早く知らせなければなりません。
外から来た異物が体内に入ってしまえば手遅れになる可能性があります。そのため、一番外側の感度を高くして、体内への侵入に備えているのです。

いくら治療が目的だからといっても、鍼とて身体にとっては異物にほかなりません。
ですから、痛みをできるだけ出さないためには、この一番外側のエリアを一瞬で通過させる必要があるのです。

一度鍼が体内に入ってしまえば、刺されるような刺激痛はほとんど起こりません。代わりに、鈍い、ズーンと来る感覚が起こることがあります。

中医学の鍼灸など、この「ズーン」を積極的に誘発させる考え方の治療もありますが、身体への負担も強く、苦手とされる方もおられますので、私が行なっている反応点治療では、これはあまり重視しません。

もちろん「これがないと受けた気にならん」という鍼マニアの方もおられますので、積極的に誘発させることもありますが…


ちなみに、鍼には一本一本パックされているものがあり、そのような鍼にはプラスチックの鍼管もセットでついています。
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赤い透明の鍼管。鍼が透けて見えます。

こちらは使い捨てで衛生的ではあるのですが、肌への「当たり」があまり良くありません。皮膚に押し当てたときに、人によっては痛く感じることもあるので、私はあまり使わず、封を切ってそのまま廃棄することが多いです。
どうしてもこれしかない場合は、ライターで先を少し炙り、皮膚にあたる部分を丸めてから使用します。先輩の鍼灸師に教えてもらったテクニックです。

ちなみに、ステンレス鍼管は使い捨てではありませんが、一人の患者さんの治療が終われば洗浄し、オートクレーブという機械で高圧蒸気滅菌を行います(「殺菌」ではなく「滅菌」です)。

もちろん、この鍼管を使っているからといって、痛みがゼロにできるわけではありません。ちなみに、鍼を打つときの痛みを「切皮痛(せっぴつう)」といいます。

痛みを最小限にとどめる原理を理解し、鍼を打つ部位に応じて角度や力加減、立ち位置も調整しますし、痛みに対する患者さんの感受性も考慮する必要があります。このあたりのコツが、なかなか文字ではお伝えできない部分なのです。



さらに詳しく(■は現在のページ)
道具のはなし・鍼(1) 鍼のサイズ
道具のはなし・鍼(2) 鍼管(しんかん) 


(遠見書房 2012年 税込2,100円)

反応点治療の考え方、治療法、自宅でのケアが学べる書籍です。

出版社のサイトでまえがきを読むことができます
 

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プロフィール

HN:
岡本悠馬
性別:
男性
職業:
鍼灸師・中国語翻訳者/医療通訳・講師
自己紹介:
神戸市須磨区妙法寺・南天はり灸治療院の院長・中国語翻訳者です。
2007年~2009年まで在外公館派遣員として中国上海に勤務。現在は翻訳者として活動しています。鍼灸では神経生理学に基づく治療を行います。反応点治療研究会所属。神戸市外国語大学非常勤講師。

手がけたもの:政治、軍事、経済、医薬、ソフトウェア取扱説明書、料理、紀行文、芸術展パンフレット、観光案内、中国語学習教材、古文(唐詩・宋詞など)、現代小説等。

メールアドレス:
okamotoyum★gmail.com(★を@に変えて送信)

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